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医政羅針盤

医師需給見通しを巡る議論の限界

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2016年7月1日号

 6月2日に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針2016」の協議の過程で、医師の偏在対策について、「規制的手法も含めた」との表現を用いた案文が示され、議論を巻き起こした。最終的に「実効性のある」との表現に変更されることになったが、折しも、厚生労働省に設けられた「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、医師需給推計や医学部入学定員のあり方、医師偏在対策などが協議されているところであり、今後、需給調整や適正配置の進め方が大きな焦点になるとみられている。  とはいえ、こうした議論は決して目新しいものではない。これまでも、一定の前提を置いて、医師需給見通しの推計が示され、さまざまな議論が行われてきたけれども、それらは外れ続けてきた歴史がある。偏在の問題があるのは事実であるものの、医師数の多い地域や診療科で過剰感が生じているのかといえば...  6月2日に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針2016」の協議の過程で、医師の偏在対策について、「規制的手法も含めた」との表現を用いた案文が示され、議論を巻き起こした。最終的に「実効性のある」との表現に変更されることになったが、折しも、厚生労働省に設けられた「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、医師需給推計や医学部入学定員のあり方、医師偏在対策などが協議されているところであり、今後、需給調整や適正配置の進め方が大きな焦点になるとみられている。  とはいえ、こうした議論は決して目新しいものではない。これまでも、一定の前提を置いて、医師需給見通しの推計が示され、さまざまな議論が行われてきたけれども、それらは外れ続けてきた歴史がある。偏在の問題があるのは事実であるものの、医師数の多い地域や診療科で過剰感が生じているのかといえば、必

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