一筆入魂
参院選で見えない本質を追うと
問われていないことに核心が
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2016年7月1日号
今回はちょっと理屈っぽい話になるが、ご容赦願いたい。
集団的自衛権を解釈の変更によって可能とする14年7月の閣議決定以降、私は憲法や安全保障関連の本を数多く読んできたつもりだ。
私は基本的に集団的自衛権の行使を容認できない。一言で言うと、これまで自衛隊は他国で人を殺したことがないからだ。まさにこのことが武力紛争を未然に防いできた大きな理由のひとつだと思う。
集団的自衛権を容認する一連の安保法制が実施されれば、必ず自衛隊は人を殺すことになる。人を殺せば、その時点で殺された側の正義の矛先が日本に向けられる。正義には必ず裏側に別の正義が存在する。そのことは武力紛争で解決できるほど単純なものではない。その歪みは必ず、報復の連鎖というかたちで果たされ、新たな火種を生んでいく。
私の読んだ本は、容認に反対するリベラル陣営のものだけでなく、その対...
今回はちょっと理屈っぽい話になるが、ご容赦願いたい。
集団的自衛権を解釈の変更によって可能とする14年7月の閣議決定以降、私は憲法や安全保障関連の本を数多く読んできたつもりだ。
私は基本的に集団的自衛権の行使を容認できない。一言で言うと、これまで自衛隊は他国で人を殺したことがないからだ。まさにこのことが武力紛争を未然に防いできた大きな理由のひとつだと思う。
集団的自衛権を容認する一連の安保法制が実施されれば、必ず自衛隊は人を殺すことになる。人を殺せば、その時点で殺された側の正義の矛先が日本に向けられる。正義には必ず裏側に別の正義が存在する。そのことは武力紛争で解決できるほど単純なものではない。その歪みは必ず、報復の連鎖というかたちで果たされ、新たな火種を生んでいく。
私の読んだ本は、容認に反対するリベラル陣営のものだけでなく、その対立軸
有料会員限定
会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください
【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)
ログイン
会員登録