時流遡航
回想の視座から眺める現在と未来
第29回 ─素人同士の社交将棋の対戦だったはずが─
ジャーナリスト 本田成親
2016年6月15日号
東京シャーリングでのアルバイト時代にはこんな風変わりな出来事にも遭遇した。たまたま会社の仕事が早目に終了した日の宵などには、休憩室と更衣室とを兼ねた2階の大部屋で、正規・日雇い双方の工員らが入り交ってよく将棋を楽しんだりしていたものだった。
私と夜警バイトの相棒はともに子どもの頃から将棋を嗜んでいたので、一応、アマチュア将棋の高段者程度の棋力はあった。一般的な将棋愛好者としてはまあまあ強いほうだったわけである。
我われ夜警の仕事の本番は工員一同が皆退社してからだったので、そんな宵時などは何組もの工員らの将棋の対局を観戦したり、求められれば喜んで彼らの相手をしたりしていた。もちろん、真剣勝負の心意気で盤面に臨んだりしたら形勢が一方的になってしまいがちだったので、我われのほうはほどよい手抜き将棋をやったり、相手...
東京シャーリングでのアルバイト時代にはこんな風変わりな出来事にも遭遇した。たまたま会社の仕事が早目に終了した日の宵などには、休憩室と更衣室とを兼ねた2階の大部屋で、正規・日雇い双方の工員らが入り交ってよく将棋を楽しんだりしていたものだった。
私と夜警バイトの相棒はともに子どもの頃から将棋を嗜んでいたので、一応、アマチュア将棋の高段者程度の棋力はあった。一般的な将棋愛好者としてはまあまあ強いほうだったわけである。
我われ夜警の仕事の本番は工員一同が皆退社してからだったので、そんな宵時などは何組もの工員らの将棋の対局を観戦したり、求められれば喜んで彼らの相手をしたりしていた。もちろん、真剣勝負の心意気で盤面に臨んだりしたら形勢が一方的になってしまいがちだったので、我われのほうはほどよい手抜き将棋をやったり、相手さ
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