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鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜

ランダム化比較試験が非倫理的?

第15回

鳥集徹

2016年6月1日号

 筆者は大学卒業後、4年間だけ統計調査の会社に籍を置かせてもらったことがあった。教育熱心な会社で、母集団を設定するに当たって、できるだけバイアスを排除することの大切さを、統計調査の仕事を通じて教えられた。 だから、その後にフリーライターに転職して医療現場を取材するようになり、薬や治療の評価方法に「ランダム化比較試験(RCT)」という方法が用いられていると聞き、すんなりと理解することができた。医学がサイエンスである限り、そのエビデンスがRCTを代表とする臨床試験の実証データに裏付けられるべきなのは、至極まっとうなことだと思う。 ところが、である。現実に医療現場を取材していると、医師からしばしば、「RCTは非倫理的だ」という言葉を聞くのだ。 まず、外科手術だ。本稿でも何度か取り上げた近藤誠医師は、「がんの手術が患者の延命に寄与しているというな...  筆者は大学卒業後、4年間だけ統計調査の会社に籍を置かせてもらったことがあった。教育熱心な会社で、母集団を設定するに当たって、できるだけバイアスを排除することの大切さを、統計調査の仕事を通じて教えられた。 だから、その後にフリーライターに転職して医療現場を取材するようになり、薬や治療の評価方法に「ランダム化比較試験(RCT)」という方法が用いられていると聞き、すんなりと理解することができた。医学がサイエンスである限り、そのエビデンスがRCTを代表とする臨床試験の実証データに裏付けられるべきなのは、至極まっとうなことだと思う。 ところが、である。現実に医療現場を取材していると、医師からしばしば、「RCTは非倫理的だ」という言葉を聞くのだ。 まず、外科手術だ。本稿でも何度か取り上げた近藤誠医師は、「がんの手術が患者の延命に寄与しているというなら

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