医薬経済オンライン

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暗がりでボランティアを待つ老夫婦

熊本地震

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2016年5月1日号

 重厚な屋根が1階を押し潰すように崩れたお寺や、道路にせり出すように傾く家屋が連なる。 4月21日、熊本地震で最も激しい震度に見舞われた益城町を歩くと、これでも現実の世界かと思うような光景が広がっていた。 神社の倒れた灯篭の写真を撮っていると、隣の住宅から麦わら帽子を被った小柄な老婦人が出てきた。右腕をこすりながら近付いてくる。「ひどいもんじゃ」 1回目の震度7の地震のとき、逃げようと2階から階段を下りていて、壁に強く打ち付けられて右腕を負傷。避難所で医療チームに手当てしてもらった。 22年前に建てた自宅は、どうにか原形をとどめている。だが、中は足の踏み場もないほど物が散乱し、壁にはひびが入り床もでこぼこ。玄関には応急危険度判定で「危険」を示す赤紙が張られている。住宅ローンを来年、やっと完済する予定だった。新しい借家に引っ越すにしても年金生活者に...  重厚な屋根が1階を押し潰すように崩れたお寺や、道路にせり出すように傾く家屋が連なる。 4月21日、熊本地震で最も激しい震度に見舞われた益城町を歩くと、これでも現実の世界かと思うような光景が広がっていた。 神社の倒れた灯篭の写真を撮っていると、隣の住宅から麦わら帽子を被った小柄な老婦人が出てきた。右腕をこすりながら近付いてくる。「ひどいもんじゃ」 1回目の震度7の地震のとき、逃げようと2階から階段を下りていて、壁に強く打ち付けられて右腕を負傷。避難所で医療チームに手当てしてもらった。 22年前に建てた自宅は、どうにか原形をとどめている。だが、中は足の踏み場もないほど物が散乱し、壁にはひびが入り床もでこぼこ。玄関には応急危険度判定で「危険」を示す赤紙が張られている。住宅ローンを来年、やっと完済する予定だった。新しい借家に引っ越すにしても年金生活者には

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