時流遡航
回想の視座から眺める現在と未来
第28回 ─工場作業員の人身事故時に救急車を呼ぶも─
ジャーナリスト 本田成親
2016年5月1日号
学生時代の夜警アルバイトの思い出のなかには、いまだにその出来事の顛末の適否を判断できないようなものもある。そして、そんな遠い日の理不尽な事態をふと思い浮かべるにつけても、単純明快な答えなどもともと存在しない人間社会の複雑さを痛感するのみである。
その日の午後5時に東京シャーリングに出勤したとき、工場内ではまだ残業が続いていた。そして、1時間ほどが経過した頃だったと思うが、突然、外でバシャーンという何かが落下する音がすると、急に周辺が騒がしくなった。何事かと思って窓ガラス越しに外の様子をうかがうと、運河沿いにある大型クレーンの下あたりにかなりの人だかりができていた。私もすぐに事務所から飛び出して、その人だかりのほうへと近づいてみた。
そこには50歳代くらいの小太りの日雇い作業員が倒れていたが、その人物には私も見...
学生時代の夜警アルバイトの思い出のなかには、いまだにその出来事の顛末の適否を判断できないようなものもある。そして、そんな遠い日の理不尽な事態をふと思い浮かべるにつけても、単純明快な答えなどもともと存在しない人間社会の複雑さを痛感するのみである。
その日の午後5時に東京シャーリングに出勤したとき、工場内ではまだ残業が続いていた。そして、1時間ほどが経過した頃だったと思うが、突然、外でバシャーンという何かが落下する音がすると、急に周辺が騒がしくなった。何事かと思って窓ガラス越しに外の様子をうかがうと、運河沿いにある大型クレーンの下あたりにかなりの人だかりができていた。私もすぐに事務所から飛び出して、その人だかりのほうへと近づいてみた。
そこには50歳代くらいの小太りの日雇い作業員が倒れていたが、その人物には私も見覚え
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