医薬経済オンライン

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読む医療—医師が書いた本の斜め読み—

権威を背景に宗教化する日本の科学界

第47回

鍛冶孝雄

2016年4月15日号

 貧乏学生で東京・下町の小さなアパートに住んでいた頃、近くに自炊用の食料品を買う店があった。ただ当時は乾物を中心に、野菜や豆腐などしか売っていなかった。素麺1束、魚肉ソーセージ1本、キャベツ半分などを買って500円札を出すと、軒に吊るしたざるに入れた小銭から、店員のおばさんが瞬時に釣りを渡してくれた。当たり前の光景で、別段その手際に感嘆したりすることはなかった。  2月に刊行された和田秀樹氏の『学者は平気でウソをつく』(新潮新書)には、こうした「おばちゃん」が存在する国は日本以外にはないと述べている。ゆとり教育から発して、数学者の発想力重視が、単純計算能力の否定をつくり出し、基礎計算能力が身についていない子どもたちを増やしているという見解につながっている話だ。件の「おばちゃん」は子どもの頃からひたすら単純計算を繰り返し、暗算能力...  貧乏学生で東京・下町の小さなアパートに住んでいた頃、近くに自炊用の食料品を買う店があった。ただ当時は乾物を中心に、野菜や豆腐などしか売っていなかった。素麺1束、魚肉ソーセージ1本、キャベツ半分などを買って500円札を出すと、軒に吊るしたざるに入れた小銭から、店員のおばさんが瞬時に釣りを渡してくれた。当たり前の光景で、別段その手際に感嘆したりすることはなかった。  2月に刊行された和田秀樹氏の『学者は平気でウソをつく』(新潮新書)には、こうした「おばちゃん」が存在する国は日本以外にはないと述べている。ゆとり教育から発して、数学者の発想力重視が、単純計算能力の否定をつくり出し、基礎計算能力が身についていない子どもたちを増やしているという見解につながっている話だ。件の「おばちゃん」は子どもの頃からひたすら単純計算を繰り返し、暗算能力が

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