塩野義を待ち受ける次のリスク
運も味方に再勃興させた手代木社長の最後の仕事
2016年4月1日号
「西高東低」と言っても気圧配置の話ではない。昨今の国内製薬業界で皆が感じている“勢い”の差である。大阪・道修町の雄であった武田薬品が研究組織を関東に移したあと、俄に迷走し始めた傍らで、武田の後塵を拝しつつも合従連衡から距離を置いていた塩野義製薬や小野薬品といった中堅製薬企業が、息を吹き返している。違いをもたらしているのは基本的には現時点でのパイプラインの相対的な優位だが、武田を含めた“失速組”は企業の目標や挑むべき対象を喪失、あるいは組織全体として共有できなくなっている。
もちろん塩野義とて、かつての抗生物質の黄金時代に見せていた同業他社を恐れさせるような経営陣、覇気に満ちた現場社員、処方数を増やすためには医師の便宜に何でも応えるといった営業神話は今では面影すらない。振り返れば規制も緩く、業界全体が「坂の上の雲」を見つめていた時代だった。
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「西高東低」と言っても気圧配置の話ではない。昨今の国内製薬業界で皆が感じている“勢い”の差である。大阪・道修町の雄であった武田薬品が研究組織を関東に移したあと、俄に迷走し始めた傍らで、武田の後塵を拝しつつも合従連衡から距離を置いていた塩野義製薬や小野薬品といった中堅製薬企業が、息を吹き返している。違いをもたらしているのは基本的には現時点でのパイプラインの相対的な優位だが、武田を含めた“失速組”は企業の目標や挑むべき対象を喪失、あるいは組織全体として共有できなくなっている。
もちろん塩野義とて、かつての抗生物質の黄金時代に見せていた同業他社を恐れさせるような経営陣、覇気に満ちた現場社員、処方数を増やすためには医師の便宜に何でも応えるといった営業神話は今では面影すらない。振り返れば規制も緩く、業界全体が「坂の上の雲」を見つめていた時代だった。
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