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賛否両論

『賛否両論』

2016年4月1日号

 もう30年以上、昔の出来事。小学校5年2組の教室は、算数の授業中だった。前日に出された宿題をクラスの優等生が解いていた。 彼女は成績優秀、運動抜群、容姿端麗と3拍子揃った、オーラすら漂わす学校中の“エリート”。生徒のほとんどが憧れる存在だ。そんな優等生がスラスラ板書した答えと、皆の答えは一致した。難問に映った宿題も、憧れの彼女と同じなら安心だ。教室に安堵の空気が流れた。答えを書き終えると、彼女は振り向きニッコリ微笑んで確認した。「答えはこれでいいですか」。クラスメート全員が声を揃える。「いいで〜す」と。 ところが担任の教師は、「ほかの答えはないかな」と教室を見渡した。キョトンと静まり返る5年2組。皆は「答えはコレだよね」と頷き合っている。すると、ひとりの生徒がおずおずと手を上げた。そして、彼の答えは、我われとはまったく違ったものだった。 担任が...  もう30年以上、昔の出来事。小学校5年2組の教室は、算数の授業中だった。前日に出された宿題をクラスの優等生が解いていた。 彼女は成績優秀、運動抜群、容姿端麗と3拍子揃った、オーラすら漂わす学校中の“エリート”。生徒のほとんどが憧れる存在だ。そんな優等生がスラスラ板書した答えと、皆の答えは一致した。難問に映った宿題も、憧れの彼女と同じなら安心だ。教室に安堵の空気が流れた。答えを書き終えると、彼女は振り向きニッコリ微笑んで確認した。「答えはこれでいいですか」。クラスメート全員が声を揃える。「いいで〜す」と。 ところが担任の教師は、「ほかの答えはないかな」と教室を見渡した。キョトンと静まり返る5年2組。皆は「答えはコレだよね」と頷き合っている。すると、ひとりの生徒がおずおずと手を上げた。そして、彼の答えは、我われとはまったく違ったものだった。 担任が促

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