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鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜

医学界も無視できなくなった近藤誠「がん理論」②

第10回

鳥集徹

2016年3月15日号

「昔は、『がんもどき』なんてないと思ってましたけど、やっぱりあるんですね」 つい最近、がん検診関連学会の幹部から聞いた言葉だ。検診推進派の医師ですら、がんもどきを認めるようになったのかと、取材した筆者は感慨深く話を聞いた。 製薬業界の方ならご存じだと思うが、ここで言うがんもどきとは、おでんのタネのことではない。「臓器転移のないがん」を指す近藤誠医師の造語だ。 近藤医師によると、がんは、本物のがんとがんもどきの2種類に分かれるという。本物のがんは、腫瘍が発見されたときにはすでに臓器転移があるので、治療しても根治できない。一方のがんもどきは、放置しても転移することはないので、寿命まで命取りになることはない。 この「がんもどき二元論」の前提に立つと、がんは早期発見しても無駄であり、がん検診もがん治療も意味がないということになる。それゆえがん専門... 「昔は、『がんもどき』なんてないと思ってましたけど、やっぱりあるんですね」 つい最近、がん検診関連学会の幹部から聞いた言葉だ。検診推進派の医師ですら、がんもどきを認めるようになったのかと、取材した筆者は感慨深く話を聞いた。 製薬業界の方ならご存じだと思うが、ここで言うがんもどきとは、おでんのタネのことではない。「臓器転移のないがん」を指す近藤誠医師の造語だ。 近藤医師によると、がんは、本物のがんとがんもどきの2種類に分かれるという。本物のがんは、腫瘍が発見されたときにはすでに臓器転移があるので、治療しても根治できない。一方のがんもどきは、放置しても転移することはないので、寿命まで命取りになることはない。 この「がんもどき二元論」の前提に立つと、がんは早期発見しても無駄であり、がん検診もがん治療も意味がないということになる。それゆえがん専門医

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