医薬経済オンライン

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時流遡航

回想の視座から眺める現在と未来

第26回 ─陰にあって日本の興隆期を支えた人々─

ジャーナリスト 本田成親

2016年3月1日号

運河に停泊中のダルマ船 東京シャーリングの敷地は直接大きな運河に面していて、ほぼ毎日のようにそこには大型のダルマ船が接岸していた。そこにやってくるダルマ船の役割は、長方形の大型鋼板を大量に積載し、神奈川県・川崎市の製鋼工場から江東区深川の東京シャーリングへと搬送することであった。  シャーリングで目的に応じて大小さまざまな形状に切断加工された鋼材は、大型トラックなどで各地の製品製造工場へと陸路搬出されることが多かったが、一部は積荷の鋼板を降ろしたあとのダルマ船に再積載され東京湾隣接地域の工場へ運ばれたりもしていた。  ダルマ船にも大・中・小いろいろなタイプがあったが、大型のダルマ船の場合、その船首付近の船倉部には、3、4人くらいなら何とか暮らせる生活空間があって、そこを常住の場にして海運業に励んでいる船頭やその家... 運河に停泊中のダルマ船 東京シャーリングの敷地は直接大きな運河に面していて、ほぼ毎日のようにそこには大型のダルマ船が接岸していた。そこにやってくるダルマ船の役割は、長方形の大型鋼板を大量に積載し、神奈川県・川崎市の製鋼工場から江東区深川の東京シャーリングへと搬送することであった。  シャーリングで目的に応じて大小さまざまな形状に切断加工された鋼材は、大型トラックなどで各地の製品製造工場へと陸路搬出されることが多かったが、一部は積荷の鋼板を降ろしたあとのダルマ船に再積載され東京湾隣接地域の工場へ運ばれたりもしていた。  ダルマ船にも大・中・小いろいろなタイプがあったが、大型のダルマ船の場合、その船首付近の船倉部には、3、4人くらいなら何とか暮らせる生活空間があって、そこを常住の場にして海運業に励んでいる船頭やその家族な

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