薬剤経済学
経済的評価と給付設計
第5回 新薬開発と薬価設定の世界的な調和策
2016年1月15日号
ボストンの臨床・経済評価研究所(ICER)とカリフォルニア・テクノロジー・アセスメント・フォーラム(CTAF)による慢性心不全治療薬「エントレスト」の評価は、新薬の臨床的有効性、費用対効果とともに、費用影響も柱にする方針を明確に掲げている(2015年12月1日「有効性、価値そして価値に基づいた価格の指標」)。 質調整生存年(QALY)1年の追加に15万ドル超は高すぎるが、10〜15万ドルまでなら認め、10万ドル以下は経済的と見做す支払いの意向(WTP)を基本に、新薬を受け入れる。これは、英国立医療技術評価機構(NICE)の2〜3倍の水準だ。だが、エントレストの費用対効果比は、エナラプリルとの比較で1QALY当たり5万915ドルと申し分ない(1月1日号参照)。 エントレストのリスト価格は年4560ドルである。WTP10〜15万ドルの基準では、「ケアの価値の価格範囲」は年...
ボストンの臨床・経済評価研究所(ICER)とカリフォルニア・テクノロジー・アセスメント・フォーラム(CTAF)による慢性心不全治療薬「エントレスト」の評価は、新薬の臨床的有効性、費用対効果とともに、費用影響も柱にする方針を明確に掲げている(2015年12月1日「有効性、価値そして価値に基づいた価格の指標」)。 質調整生存年(QALY)1年の追加に15万ドル超は高すぎるが、10〜15万ドルまでなら認め、10万ドル以下は経済的と見做す支払いの意向(WTP)を基本に、新薬を受け入れる。これは、英国立医療技術評価機構(NICE)の2〜3倍の水準だ。だが、エントレストの費用対効果比は、エナラプリルとの比較で1QALY当たり5万915ドルと申し分ない(1月1日号参照)。 エントレストのリスト価格は年4560ドルである。WTP10〜15万ドルの基準では、「ケアの価値の価格範囲」は年948
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