薬剤経済学
経済的評価と給付設計
第1回 患者負担と医療需要とCERの変化
2015年11月15日号
表1は、費用1ドルの医療サービス(保険給付なし、費用の100%を患者が支払う環境で10万人が用い、治療効果として総計2.5質調整生存年=QALYを生み出す)が給付対象になったとき、自己負担軽減に応じて利用者と所要費用がどのように増え、結果として費用対効果比(CER)、QALYを1年追加するのに要する費用がどのように変わっていくか、関係を簡略化したシミュレーション・モデルだ。ゼロ給付ないし保険適用外のとき、所要費用は10万ドル(1×10万人)、獲得QALYは2.5年だから、CERは4万ドル(10/2.5年)である。 そこに25%の保険補助が入ると、負担軽減に応じて消費者需要が刺激され、利用者は1万人増えるとする。保険費用2.75万ドル(11×0.25)の追加が必要になるが、利用増に応じて獲得QALYも増える。ただ、新しい患者群が受療で得る(限界)便益は、全額負担でも利用する患...
表1は、費用1ドルの医療サービス(保険給付なし、費用の100%を患者が支払う環境で10万人が用い、治療効果として総計2.5質調整生存年=QALYを生み出す)が給付対象になったとき、自己負担軽減に応じて利用者と所要費用がどのように増え、結果として費用対効果比(CER)、QALYを1年追加するのに要する費用がどのように変わっていくか、関係を簡略化したシミュレーション・モデルだ。ゼロ給付ないし保険適用外のとき、所要費用は10万ドル(1×10万人)、獲得QALYは2.5年だから、CERは4万ドル(10/2.5年)である。 そこに25%の保険補助が入ると、負担軽減に応じて消費者需要が刺激され、利用者は1万人増えるとする。保険費用2.75万ドル(11×0.25)の追加が必要になるが、利用増に応じて獲得QALYも増える。ただ、新しい患者群が受療で得る(限界)便益は、全額負担でも利用する患者群
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