話題の焦点
「ギプス今昔物語」
2015年11月1日号
最近、手や足にギプスを巻いて痛々しそうに歩く人をあまり見かけなくなった。その背景には、患部の固定方法が急速に進歩し、仰々しいギプス固定が激減したからである。 その昔「ギプスなくして整形外科なし」というドイツ由来の格言があった。新米医師が一人前にギプスを巻けるようになるため「桃栗3年柿8年」をもじって、患者の「足持ち3年、巻き8年」の徒弟奉公的教育を経て、整形外科医が育っていった。 ギプス包帯は、当初硫酸カルシウムを包帯にまぶし、水を加えて硬化させていた。そのあとポリウレタン樹脂をガラス繊維に塗布、軽量でシャワーも浴びられるほど大幅に改良された。 さらには、医療の基本が「静から動に」大きく変換したことを受け、できるだけギプス固定せずに、早くから患肢を動かして、関節の拘縮や筋萎縮を防ぎ、かつ骨への循環も促進させるため、固定方法にさまざまな工夫...
最近、手や足にギプスを巻いて痛々しそうに歩く人をあまり見かけなくなった。その背景には、患部の固定方法が急速に進歩し、仰々しいギプス固定が激減したからである。 その昔「ギプスなくして整形外科なし」というドイツ由来の格言があった。新米医師が一人前にギプスを巻けるようになるため「桃栗3年柿8年」をもじって、患者の「足持ち3年、巻き8年」の徒弟奉公的教育を経て、整形外科医が育っていった。 ギプス包帯は、当初硫酸カルシウムを包帯にまぶし、水を加えて硬化させていた。そのあとポリウレタン樹脂をガラス繊維に塗布、軽量でシャワーも浴びられるほど大幅に改良された。 さらには、医療の基本が「静から動に」大きく変換したことを受け、できるだけギプス固定せずに、早くから患肢を動かして、関節の拘縮や筋萎縮を防ぎ、かつ骨への循環も促進させるため、固定方法にさまざまな工夫が加
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