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読む医療—医師が書いた本の斜め読み—

敗戦直後の混沌をやわらかく見つめる青年

第35回

鍛冶孝雄

2015年10月15日号

「われわれはいわゆる『骨の髄まで軍国的主義教育を叩き込まれた』青年である。ある方面に対する神秘の霧を眼の前に張り渡され、これを吹き払われるのは一種肉体的苦痛をすらおぼえるようになっている。しかし、今やその霧は否が応でも取り除かれようとしている」。これは、10月1日号に続いて紹介する山田風太郎の『戦中派不戦日記』(講談社文庫、85年刊・02年新装版刊)の12月5日の記述である。今回は、1945年の終戦(敗戦)後からの日記を中心に読む。  冒頭の記述は、敗戦の8月15日から4ヵ月近くが経ち、すでに巷は米兵が闊歩し、人々の多くが飢えや停電に悩んでいる頃である。  この前後には天皇制に対する考え方が自分のなかでぐらついていることが吐露されているが、「神秘の霧」は戦中まで、山田を含めた日本国民を突き動かしていた愛国や神国日本といった具象化しにくいものが... 「われわれはいわゆる『骨の髄まで軍国的主義教育を叩き込まれた』青年である。ある方面に対する神秘の霧を眼の前に張り渡され、これを吹き払われるのは一種肉体的苦痛をすらおぼえるようになっている。しかし、今やその霧は否が応でも取り除かれようとしている」。これは、10月1日号に続いて紹介する山田風太郎の『戦中派不戦日記』(講談社文庫、85年刊・02年新装版刊)の12月5日の記述である。今回は、1945年の終戦(敗戦)後からの日記を中心に読む。  冒頭の記述は、敗戦の8月15日から4ヵ月近くが経ち、すでに巷は米兵が闊歩し、人々の多くが飢えや停電に悩んでいる頃である。  この前後には天皇制に対する考え方が自分のなかでぐらついていることが吐露されているが、「神秘の霧」は戦中まで、山田を含めた日本国民を突き動かしていた愛国や神国日本といった具象化しにくいものが、敗

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