薬剤経済学
薬剤療法の価値
第12回 抗がん剤は特別─患者の期待の価値付け
2015年9月15日号
D.N.ラクダワラ(南カリフォルニア大学)らは3年前、費用増加から患者の便益追加の価値を引いたネットの〈ケアの質調整費用〉概念で高額薬剤療法を見直すよう提言し(薬剤療法の価値⑤⑥)。そのなかで患者は、余命を縮めかねない一方、大きく延ばす可能性も秘める抗がん剤療法は好むと説き、患者にとっての価値の観点から、定型的な医療技術評価の限界を克服する必要性を強調した。「患者はいかに希望・期待を価値付けるか、高費用のがん療法の費用対効果評価にとっての意味」(ヘルス・アフェアーズ2012年4月)では、実際に患者調査を実施した。その結果、治療後の平均余命が患者間で差のない24月のメラノーマ療法Aよりも、平均値は同じでも半数は10月内に亡くなり、残り30%は54月、20%は54月を超す分布の療法Bを好むという患者が71%に及んだ。約束された「安全な賭け(bet)」に対する「希...
D.N.ラクダワラ(南カリフォルニア大学)らは3年前、費用増加から患者の便益追加の価値を引いたネットの〈ケアの質調整費用〉概念で高額薬剤療法を見直すよう提言し(薬剤療法の価値⑤⑥)。そのなかで患者は、余命を縮めかねない一方、大きく延ばす可能性も秘める抗がん剤療法は好むと説き、患者にとっての価値の観点から、定型的な医療技術評価の限界を克服する必要性を強調した。「患者はいかに希望・期待を価値付けるか、高費用のがん療法の費用対効果評価にとっての意味」(ヘルス・アフェアーズ2012年4月)では、実際に患者調査を実施した。その結果、治療後の平均余命が患者間で差のない24月のメラノーマ療法Aよりも、平均値は同じでも半数は10月内に亡くなり、残り30%は54月、20%は54月を超す分布の療法Bを好むという患者が71%に及んだ。約束された「安全な賭け(bet)」に対する「希望を
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