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薬剤経済学

薬剤療法の価値

第11回 米国がん医療の対欧優位は弱く非効率

2015年9月1日号

 米ダートマス大学のS.ソネジとJ.W.ヤングによる「欧州と比べた米国におけるがん治療の価値の再検証」は、米国のがん医療費は西欧より高いが、治療によって実現する「回避された死亡」と「追加される余命年数」が劣る腫瘍タイプもあり、医療費増分に見合う便益は総じて認めがたいとする。そして、米国のがん医療は「欧州に比べて価値は低い」ことを示唆していると、問題提起した(ヘルス・アフェアーズ2015年3月)。 この研究では、1982年〜2010年の5歳刻みの性・年齢階級別がん死亡率から回避されたがん死亡を割り出し、平均余命から余命追加を算出して「獲得できる生存年数」を推計。この作業を腫瘍タイプごとに進め、「欧州平均」(加重平均)と比べた。 表がその要約だ。米国医療の下で、胃がんによる死亡は1982年から29年間で通算62万件回避でき、1371万年の余命を加えた。これに同27万件、38...  米ダートマス大学のS.ソネジとJ.W.ヤングによる「欧州と比べた米国におけるがん治療の価値の再検証」は、米国のがん医療費は西欧より高いが、治療によって実現する「回避された死亡」と「追加される余命年数」が劣る腫瘍タイプもあり、医療費増分に見合う便益は総じて認めがたいとする。そして、米国のがん医療は「欧州に比べて価値は低い」ことを示唆していると、問題提起した(ヘルス・アフェアーズ2015年3月)。 この研究では、1982年〜2010年の5歳刻みの性・年齢階級別がん死亡率から回避されたがん死亡を割り出し、平均余命から余命追加を算出して「獲得できる生存年数」を推計。この作業を腫瘍タイプごとに進め、「欧州平均」(加重平均)と比べた。 表がその要約だ。米国医療の下で、胃がんによる死亡は1982年から29年間で通算62万件回避でき、1371万年の余命を加えた。これに同27万件、386万

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