医薬経済オンライン

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薬剤経済学

薬剤療法の価値

第10回 回避できるがん死亡の価値推定法

2015年8月15日号

 健康結果を併せて見つめ直せば、米国の突出した医療費・薬剤費水準を一方的に否定的に捉える視点は間違いだ。これは、南カリフォルニア大学を拠点に、がん医療で論陣を張るチームの基本的立場で、一連の報告を通じて〝証明〟を進めているが、この主張を疑問視する研究チームもある。 T.フィリップソン(シカゴ大学)らは3年前、「欧州に比べた米国の高い医療費支出は〝それだけの価値〟があるか——がんの場合」と問いかけ、治療が救う患者=「回避された死」で評価すると、医療費増分を凌駕する生存年数の追加が実現されており、「見合う価値がある」と宣言した(ヘルス・アフェアーズ2012年4月)。 図は比較のアプローチと(疑問を挟まれた)結論の要約だ。13種の腫瘍を総合した欧州10ヵ国の「平均的がん患者」に比べた米国の1人当たり治療費の超過は2万ドル弱だが、生み出した生存追加の価値は最大...  健康結果を併せて見つめ直せば、米国の突出した医療費・薬剤費水準を一方的に否定的に捉える視点は間違いだ。これは、南カリフォルニア大学を拠点に、がん医療で論陣を張るチームの基本的立場で、一連の報告を通じて〝証明〟を進めているが、この主張を疑問視する研究チームもある。 T.フィリップソン(シカゴ大学)らは3年前、「欧州に比べた米国の高い医療費支出は〝それだけの価値〟があるか——がんの場合」と問いかけ、治療が救う患者=「回避された死」で評価すると、医療費増分を凌駕する生存年数の追加が実現されており、「見合う価値がある」と宣言した(ヘルス・アフェアーズ2012年4月)。 図は比較のアプローチと(疑問を挟まれた)結論の要約だ。13種の腫瘍を総合した欧州10ヵ国の「平均的がん患者」に比べた米国の1人当たり治療費の超過は2万ドル弱だが、生み出した生存追加の価値は最大10

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