医薬経済オンライン

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技術革新と製薬企業の明日

過熱するゲノム編集研究

第59回

生島准

2015年8月15日号

 15年8月4日、この日、ニューデリーより気温が高くうだるような大阪で画期的な記者会見が開かれた。日本遺伝子細胞治療学会が大阪大学で開いた記者会見で発表されたのは日米の両学会の共同声明だった。急速に発展したゲノム編集技術をヒト受精卵やヒト生殖細胞に応用する実験の禁止を強く呼び掛けた。人類の育種、あるいは“デザイナー・ベイビー”の開発につながるからだ。 ゲノム編集技術とは、今までの遺伝子操作技術とは桁違いの精密さで、しかもゲノム上のあらゆる場所で自由自在に遺伝子配列を改変するできるものだ。 遺伝子操作が75年に開発されたとき、特定の遺伝子配列を認識してゲノム(DNA)を切断する制限酵素が活用された。もともと制限酵素は大腸菌などの微生物に感染する病原ウイルス(ファージ)に対する防御システムとして発達した。ファージが感染して、ファージのDNAが微生物...  15年8月4日、この日、ニューデリーより気温が高くうだるような大阪で画期的な記者会見が開かれた。日本遺伝子細胞治療学会が大阪大学で開いた記者会見で発表されたのは日米の両学会の共同声明だった。急速に発展したゲノム編集技術をヒト受精卵やヒト生殖細胞に応用する実験の禁止を強く呼び掛けた。人類の育種、あるいは“デザイナー・ベイビー”の開発につながるからだ。 ゲノム編集技術とは、今までの遺伝子操作技術とは桁違いの精密さで、しかもゲノム上のあらゆる場所で自由自在に遺伝子配列を改変するできるものだ。 遺伝子操作が75年に開発されたとき、特定の遺伝子配列を認識してゲノム(DNA)を切断する制限酵素が活用された。もともと制限酵素は大腸菌などの微生物に感染する病原ウイルス(ファージ)に対する防御システムとして発達した。ファージが感染して、ファージのDNAが微生物の細

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