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医政羅針盤

「コスト病」理論から考える医療費

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2015年8月1日号

 増加する医療費を今後とも賄い続けることは可能なのか。これは、多くの国で共通して議論されているテーマである。「医療費の増加は経済的に見て持続可能ではない」として、悲観的な見通しを立てる論者も少なくない。それが往々にして、極端な医療改革の提案に結び付いたりもする。  日本の国民医療費の推移を確認しておくと、12年度は39.2兆円で、92年度の23.5兆円から20年間で15.7兆円増加している。この間、介護保険制度が創設された00年度、史上初の診療報酬本体のマイナス改定が行われた02年度、過去最大のマイナス改定が行われた06年度には、国民医療費は対前年度比で減少を記録するなど、伸びは抑制されてきたものの、1.67倍も伸びた。人口1人当たりの国民医療費も、92年度の18.9万円から、12年度は30.8万円に増加している。  国民医療費は、前述の3年を除いて、増加し続けているため、厚生労...  増加する医療費を今後とも賄い続けることは可能なのか。これは、多くの国で共通して議論されているテーマである。「医療費の増加は経済的に見て持続可能ではない」として、悲観的な見通しを立てる論者も少なくない。それが往々にして、極端な医療改革の提案に結び付いたりもする。  日本の国民医療費の推移を確認しておくと、12年度は39.2兆円で、92年度の23.5兆円から20年間で15.7兆円増加している。この間、介護保険制度が創設された00年度、史上初の診療報酬本体のマイナス改定が行われた02年度、過去最大のマイナス改定が行われた06年度には、国民医療費は対前年度比で減少を記録するなど、伸びは抑制されてきたものの、1.67倍も伸びた。人口1人当たりの国民医療費も、92年度の18.9万円から、12年度は30.8万円に増加している。  国民医療費は、前述の3年を除いて、増加し続けているため、厚生労働

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