医政羅針盤
保険給付範囲縮小論に交錯する思惑
山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰
2015年7月1日号
最近、医療費抑制策の議論が花盛りだ。提案自体には新鮮味がなく、これまでも繰り返し議論されてきたことの焼き直しがほとんどだが、経済財政諮問会議や財政制度等審議会だけでなく、自民党の「財政再建に関する特命委員会」なども含め、医療費抑制策が議論の俎上に載せられている。そこで検討されている事項のひとつに、保険給付範囲の縮小がある。
さまざまな具体策が議論されており、例えば、諮問会議の民間議員は、「費用対効果評価の導入により保険収載の適正化」や「保険償還額の後発品価格に基づく設定と市販薬(OTC薬)類似品の保険除外」を提案している。
同様の提案は、財政審が6月1日にまとめた「財政健全化計画等に関する建議」にも見られる。費用対効果の関連では、「同じ生活習慣病を対象とした治療薬が複数ある場合において、費用対効果の観点も踏まえ、専門家の知見を集めて処...
最近、医療費抑制策の議論が花盛りだ。提案自体には新鮮味がなく、これまでも繰り返し議論されてきたことの焼き直しがほとんどだが、経済財政諮問会議や財政制度等審議会だけでなく、自民党の「財政再建に関する特命委員会」なども含め、医療費抑制策が議論の俎上に載せられている。そこで検討されている事項のひとつに、保険給付範囲の縮小がある。
さまざまな具体策が議論されており、例えば、諮問会議の民間議員は、「費用対効果評価の導入により保険収載の適正化」や「保険償還額の後発品価格に基づく設定と市販薬(OTC薬)類似品の保険除外」を提案している。
同様の提案は、財政審が6月1日にまとめた「財政健全化計画等に関する建議」にも見られる。費用対効果の関連では、「同じ生活習慣病を対象とした治療薬が複数ある場合において、費用対効果の観点も踏まえ、専門家の知見を集めて処方
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