老医師のつぶやき
心ある医療はどこへ、なぜ?
第39回
吉原忠男(前埼玉県医師会長)
2015年7月1日号
2、3年前、待合室で若い女性の患者が怒鳴って受診せずに帰って行った。
「こんな小さな診療所で1時間も待たせるなんて信じらんないっ」
私の医院はそんなに混むことはないのだが、たまたま始めの時間帯に手間のかかる患者さんが続いて、そのうえ、手を切った人が来て縫合したりしていたから1時間近く待たせたことは事実だ。
もともと私は患者さんとの話が長いかもしれない。彼らは専門家ではないからポイントがずれていることが多い。それをうまく誘導して、何が言いたいのか把握して診断する必要がある。しかし、主訴だけ聞いて、あとはうわの空でさっと血圧を測って「はい、これが処方箋です」と渡して、まだ診察室に患者がいるのに看護師に「次呼んで」なんていう医師もたくさんいる。
さっきの娘さんは、そういう医師たちの所へ行けば待たずに済むかもしれない。しかし、フンフンと話を聞き...
2、3年前、待合室で若い女性の患者が怒鳴って受診せずに帰って行った。
「こんな小さな診療所で1時間も待たせるなんて信じらんないっ」
私の医院はそんなに混むことはないのだが、たまたま始めの時間帯に手間のかかる患者さんが続いて、そのうえ、手を切った人が来て縫合したりしていたから1時間近く待たせたことは事実だ。
もともと私は患者さんとの話が長いかもしれない。彼らは専門家ではないからポイントがずれていることが多い。それをうまく誘導して、何が言いたいのか把握して診断する必要がある。しかし、主訴だけ聞いて、あとはうわの空でさっと血圧を測って「はい、これが処方箋です」と渡して、まだ診察室に患者がいるのに看護師に「次呼んで」なんていう医師もたくさんいる。
さっきの娘さんは、そういう医師たちの所へ行けば待たずに済むかもしれない。しかし、フンフンと話を聞き流
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