試される医薬食品局の「行政力」
スイッチOTC薬促進策、頼みの綱の厚労科研報告書は期待外れ
2015年5月15日号
10年以上前のことだ。ある検討会でH2ブロッカーOTC薬「ガスター10」が議論の標的になっていた。長期連用患者は胃がんの発見が遅れると、医師会代表委員がOTC薬から医療用に戻す〝スイッチバック〟を訴えた。すでに市販化から数年が経過し、一定の販売実績を残していたOTC薬にもかかわらず、わずかな危険性を強調し安全面を問題にするというスイッチ批判を、医師代表が声高に叫んでいた。出席していたほかの委員は、いつもの医師のスイッチアレルギーに辟易していた。
検討会終了後、乗り込んだエレベーターのなかで委員のひとりがポツリ呟いた。「やれやれ、H2ブロッカーは胃が痛くなるクスリですなぁ」と。ガスター10の効能効果は「胃痛、胸やけ」だ。胃の痛みを取り除く医薬品が逆に、会議では胃痛を引き起こす——そんな皮肉に同乗していた委員のひとりが「本当にその通り。胃が痛くな...
10年以上前のことだ。ある検討会でH2ブロッカーOTC薬「ガスター10」が議論の標的になっていた。長期連用患者は胃がんの発見が遅れると、医師会代表委員がOTC薬から医療用に戻す〝スイッチバック〟を訴えた。すでに市販化から数年が経過し、一定の販売実績を残していたOTC薬にもかかわらず、わずかな危険性を強調し安全面を問題にするというスイッチ批判を、医師代表が声高に叫んでいた。出席していたほかの委員は、いつもの医師のスイッチアレルギーに辟易していた。
検討会終了後、乗り込んだエレベーターのなかで委員のひとりがポツリ呟いた。「やれやれ、H2ブロッカーは胃が痛くなるクスリですなぁ」と。ガスター10の効能効果は「胃痛、胸やけ」だ。胃の痛みを取り除く医薬品が逆に、会議では胃痛を引き起こす——そんな皮肉に同乗していた委員のひとりが「本当にその通り。胃が痛くなるク
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