薬剤経済学
薬剤療法の価値
第6回メディケア薬剤給付の制度化が救った命
2015年5月15日号
2006年に米国が実施したメディケア薬剤給付制度(パートD)は、大半の高齢者受給者が薬剤給付でカバーされる状況を実現し、給付適用は薬剤の利用とそれに伴う費用増を生んだ。ただ、(連邦拠出によって)受給者の自己負担を軽減する環境を整え、高齢者の医療費自己負担に占める薬剤費は42%から18%に縮んだ。表1はそうした制度の実施前後の変化をメディケア最新受給者調査(MCBS)から要約している。 薬剤利用の拡充は高齢者ケアを改善し、相当数の命を、回避可能な死亡から救ったはずだ。サンフランシスコ連邦準備銀行ワーキング・ペーパーとして2月に報告された「メディケア・パートDは命を救ったか?」は、制度創設の効果を心血管疾患(CV)関連死に絞って取り出し、実施に要する費用と比べて制度の便益を測った研究である。商務省経済分析局(BEA)のA.ダンと、FRBのA.H.シャピ...
2006年に米国が実施したメディケア薬剤給付制度(パートD)は、大半の高齢者受給者が薬剤給付でカバーされる状況を実現し、給付適用は薬剤の利用とそれに伴う費用増を生んだ。ただ、(連邦拠出によって)受給者の自己負担を軽減する環境を整え、高齢者の医療費自己負担に占める薬剤費は42%から18%に縮んだ。表1はそうした制度の実施前後の変化をメディケア最新受給者調査(MCBS)から要約している。 薬剤利用の拡充は高齢者ケアを改善し、相当数の命を、回避可能な死亡から救ったはずだ。サンフランシスコ連邦準備銀行ワーキング・ペーパーとして2月に報告された「メディケア・パートDは命を救ったか?」は、制度創設の効果を心血管疾患(CV)関連死に絞って取り出し、実施に要する費用と比べて制度の便益を測った研究である。商務省経済分析局(BEA)のA.ダンと、FRBのA.H.シャピー
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