日本の移植医療に今起きていること
〝医療権力〟の下で増える弱者
ノンフィクションライター 高橋幸春
2015年5月1日号
宇和島徳洲会病院で今年3月に行われた、15例目の「臨床研究」は、極めて異例なかたちでの移植手術だった。本来ならば、移植を受けるレシピエントの兄と、腎臓を提供するドナーを買って出た妹との間で、通常の生体腎移植として行われるべき移植だった。
彼らはもともと、東京女子医科大学病院で生体腎移植を受けようとしていた。だが、ある事情から、移植を東京女子医大で受けられなくなり、急遽、宇和島徳洲会病院を頼ったのだ。
レシピエントは会社役員の田中弘道。彼は多発性のう胞腎の患者で、感染症を引き起こして入院したのは11年のことだった。それ以降、腎機能は徐々に落ちていった。
12年春、週1回の透析治療を受けるようになった田中は、さらに1年後の13年春、再び感染症にかかり3ヵ月入院した。このときに腎機能を完全に失い、退院後はとうとう、週3回の透析を受けなければならなくな...
宇和島徳洲会病院で今年3月に行われた、15例目の「臨床研究」は、極めて異例なかたちでの移植手術だった。本来ならば、移植を受けるレシピエントの兄と、腎臓を提供するドナーを買って出た妹との間で、通常の生体腎移植として行われるべき移植だった。
彼らはもともと、東京女子医科大学病院で生体腎移植を受けようとしていた。だが、ある事情から、移植を東京女子医大で受けられなくなり、急遽、宇和島徳洲会病院を頼ったのだ。
レシピエントは会社役員の田中弘道。彼は多発性のう胞腎の患者で、感染症を引き起こして入院したのは11年のことだった。それ以降、腎機能は徐々に落ちていった。
12年春、週1回の透析治療を受けるようになった田中は、さらに1年後の13年春、再び感染症にかかり3ヵ月入院した。このときに腎機能を完全に失い、退院後はとうとう、週3回の透析を受けなければならなくなっ
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