時流遡航
回想の視座から眺める現在と未来
第6回
ジャーナリスト 本田成親
2015年5月1日号
SPring─8で原子や電子の様態研究に用いられる高輝度放射光は、波長がとても短くて、太陽光の10億倍とも言われる輝度を持つ。物質を構成する原子や電子などの様子を直接に観測しようとしたら、それらのサイズと同じ程度かそれよりもずっと短い波長の、極めて明るい光が必要となるからだ。人間の目にはどんなに明るく見えても、X線などに比べて波長が長く輝度の低い可視光線による観測は、喩えるなら、薄明かりのもとで、1センチ幅の目盛しか持たない定規を使って蟻の足先の細毛の太さを測るようなものである。そのようなわけだから、波長が短く輝度が高いSPring─8の放射光は、極微な世界の事象の解析には不可欠なのである。
また、SPrin─8の放射光の一種で比較的波長の長い軟X線を用いれば、従来の手法では困難だった諸々の文化財の詳細な分析調査が可能になる。1...
SPring─8で原子や電子の様態研究に用いられる高輝度放射光は、波長がとても短くて、太陽光の10億倍とも言われる輝度を持つ。物質を構成する原子や電子などの様子を直接に観測しようとしたら、それらのサイズと同じ程度かそれよりもずっと短い波長の、極めて明るい光が必要となるからだ。人間の目にはどんなに明るく見えても、X線などに比べて波長が長く輝度の低い可視光線による観測は、喩えるなら、薄明かりのもとで、1センチ幅の目盛しか持たない定規を使って蟻の足先の細毛の太さを測るようなものである。そのようなわけだから、波長が短く輝度が高いSPring─8の放射光は、極微な世界の事象の解析には不可欠なのである。
また、SPrin─8の放射光の一種で比較的波長の長い軟X線を用いれば、従来の手法では困難だった諸々の文化財の詳細な分析調査が可能になる。10年
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