医薬経済オンライン

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老医師のつぶやき

生保医療の陰で

第36回

吉原忠男(前埼玉県医師会長)

2015年4月1日号

 どこの診療所にも生活保護の医療券を持ってくる人は結構いる。皆、質素な生活をしている人たちだ。なぜかホームレスのような人たちは来ない。医師はごく自然に通常の医療を彼らに行っている。  しかし、彼らの生活背景の痛みにはあまり触れないようにしている。生活保護者受給証を申請している人には、働けないだけの家庭的背景かそのほかの理由があり、表に現れる理由の多くは病気を幾つも持っていることだ。高血圧、糖尿病、狭心症、腰痛症、うつ病など、それらを複数で持っている人が多い。当然、薬剤数も多くなる。比較的元気な受給者たちは福祉事務所からハローワークに行くように指示される。しかし、病気持ちの人に適した仕事はなかなかない。  そういう人のなかに、毎日多量の酒を飲む人がいた。支給額のなかで、別の物を切り詰めても安い焼酎しか買えない。電話も持っていない。肝臓が悪く...  どこの診療所にも生活保護の医療券を持ってくる人は結構いる。皆、質素な生活をしている人たちだ。なぜかホームレスのような人たちは来ない。医師はごく自然に通常の医療を彼らに行っている。  しかし、彼らの生活背景の痛みにはあまり触れないようにしている。生活保護者受給証を申請している人には、働けないだけの家庭的背景かそのほかの理由があり、表に現れる理由の多くは病気を幾つも持っていることだ。高血圧、糖尿病、狭心症、腰痛症、うつ病など、それらを複数で持っている人が多い。当然、薬剤数も多くなる。比較的元気な受給者たちは福祉事務所からハローワークに行くように指示される。しかし、病気持ちの人に適した仕事はなかなかない。  そういう人のなかに、毎日多量の酒を飲む人がいた。支給額のなかで、別の物を切り詰めても安い焼酎しか買えない。電話も持っていない。肝臓が悪く血

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