医政羅針盤
新薬創出加算「恒久化」以前の疑問符
山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰
2015年3月1日号
次期薬価制度改革に向けて、新薬創出加算の「恒久化」が実現するかどうか、製薬業界の関心は高い。先日、ある外資系製薬企業の社長と面談したが、新薬創出加算が恒久化されないと、「ビジネスの『予見可能性』を損なうことになる。予見可能性のない国では、安心して企業活動しようと思わなくなり、日本経済全体にとってマイナスだ」と強く主張していた。
確かに、いくら「試行的」とはいえ、10年度から続いてきた新薬創出加算が継続されないことになれば、この制度を前提に経営展開している企業の側からすれば、経営上のシナリオが大きく狂ってしまう。制度というものは、朝令暮改を繰り返すのではなく、ある程度の安定性を担保すべきものだ。
しかしながら、医療の世界においては、診療報酬改定と薬価制度改革が2年に1度という頻度で実施され、その都度、医療現場は制度の見直しに振り回され、厚...
次期薬価制度改革に向けて、新薬創出加算の「恒久化」が実現するかどうか、製薬業界の関心は高い。先日、ある外資系製薬企業の社長と面談したが、新薬創出加算が恒久化されないと、「ビジネスの『予見可能性』を損なうことになる。予見可能性のない国では、安心して企業活動しようと思わなくなり、日本経済全体にとってマイナスだ」と強く主張していた。
確かに、いくら「試行的」とはいえ、10年度から続いてきた新薬創出加算が継続されないことになれば、この制度を前提に経営展開している企業の側からすれば、経営上のシナリオが大きく狂ってしまう。制度というものは、朝令暮改を繰り返すのではなく、ある程度の安定性を担保すべきものだ。
しかしながら、医療の世界においては、診療報酬改定と薬価制度改革が2年に1度という頻度で実施され、その都度、医療現場は制度の見直しに振り回され、厚生
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