医薬経済オンライン

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読む医療—医師が書いた本の斜め読み—

メッセージの役割が強い「白い宴」

第20回

鍛冶孝雄

2015年3月1日号

 前回2月15日号で、故渡辺淳一氏は自ら、1968年8月8日に行われ、大ニュースとなった札幌医科大学での国内初の心臓移植手術が、最終的には同氏が小説家一本で進んでいく契機になったことを明らかにしていると紹介した。12年に刊行された文庫本での特別インタビューで語っているものだが、移植当時、新聞に移植手術を敢行した故和田寿郎氏を擁護する原稿を書き、そのために大学に居づらくなったこと、そして地方病院勤務に回ってすぐに作家として生きる決心に至ったとしている。  それだけに、医師として、作家として、自らの岐路となったいわゆる「和田移植」について、書き残しておくことは、使命感のようなものか、意地のようなものがあったかもしれない。そして、この和田移植を題材に残された作品が『白い宴』(角川文庫、絶版)である。同作品は、和田移植の翌年の69年に「小説・...  前回2月15日号で、故渡辺淳一氏は自ら、1968年8月8日に行われ、大ニュースとなった札幌医科大学での国内初の心臓移植手術が、最終的には同氏が小説家一本で進んでいく契機になったことを明らかにしていると紹介した。12年に刊行された文庫本での特別インタビューで語っているものだが、移植当時、新聞に移植手術を敢行した故和田寿郎氏を擁護する原稿を書き、そのために大学に居づらくなったこと、そして地方病院勤務に回ってすぐに作家として生きる決心に至ったとしている。  それだけに、医師として、作家として、自らの岐路となったいわゆる「和田移植」について、書き残しておくことは、使命感のようなものか、意地のようなものがあったかもしれない。そして、この和田移植を題材に残された作品が『白い宴』(角川文庫、絶版)である。同作品は、和田移植の翌年の69年に「小説・心臓

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