読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
伝道師の「がまんしなくていい」
第17回
鍛冶孝雄
2015年1月15日号
もう一昔前のことだが、ある地方都市を旅の途中で訪れた。以前に行ったことのある料理店で昼食をとることが、その旅のひとつの目的だったので、よく晴れた初夏の明るい駅に降り立ったのは正午前だった。駅から続く緩い坂道を上りきると、官公署街に続く広い道が開ける。記憶に残る風景だった。しかし、その広い道の端から市役所方向へ、長い行列が続いているのが見えた。行列ははるか先の市民ホールらしき建物まで延々と続いていることが推察でき、何かのイベントがあるのはわかったが、行列に追いついて、並んでいる人々を追い抜きながら観察すると、ほとんどが中高年者の男女である。
「何があるのですか」と、我慢できなくなって列をつくっている初老の男性に聞くと、ニコニコしながら手に持っているパンフレットを見せてくれた。彼らの目当ては、1時半から始まる養老孟司氏と日野...
もう一昔前のことだが、ある地方都市を旅の途中で訪れた。以前に行ったことのある料理店で昼食をとることが、その旅のひとつの目的だったので、よく晴れた初夏の明るい駅に降り立ったのは正午前だった。駅から続く緩い坂道を上りきると、官公署街に続く広い道が開ける。記憶に残る風景だった。しかし、その広い道の端から市役所方向へ、長い行列が続いているのが見えた。行列ははるか先の市民ホールらしき建物まで延々と続いていることが推察でき、何かのイベントがあるのはわかったが、行列に追いついて、並んでいる人々を追い抜きながら観察すると、ほとんどが中高年者の男女である。
「何があるのですか」と、我慢できなくなって列をつくっている初老の男性に聞くと、ニコニコしながら手に持っているパンフレットを見せてくれた。彼らの目当ては、1時半から始まる養老孟司氏と日野原重
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