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医政羅針盤

増税延期で危惧される「給付抑制論」

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2014年12月1日号

 11月17日に速報値が発表された7〜9月期のGDP(国内総生産)は、実質の年率換算で前期比▲1・6%となり、2四半期連続のマイナス成長を記録した。これを受けて、安倍首相は消費税率の10%への引き上げを延期するとともに、衆議院を解散する方針を表明、21日に解散した。  この後、12月に公表される改定値を確認する必要もあるが、このような想定外のマイナス成長の下では、再増税延期も致し方ない判断であったかもしれない。私自身は、消費税増税による景気悪化に対して、十分な景気対策を行うという条件付きで、消費税増税に賛成の立場だった。それは、財政再建のためということではなく、すでに消費税増税を前提として社会保障改革が組み立てられており、再増税延期は社会保障給付抑制の圧力を強めることにしかならない、と危惧しているからだ。  確かに、政府債務は巨額に上っており、中長期的に...  11月17日に速報値が発表された7〜9月期のGDP(国内総生産)は、実質の年率換算で前期比▲1・6%となり、2四半期連続のマイナス成長を記録した。これを受けて、安倍首相は消費税率の10%への引き上げを延期するとともに、衆議院を解散する方針を表明、21日に解散した。  この後、12月に公表される改定値を確認する必要もあるが、このような想定外のマイナス成長の下では、再増税延期も致し方ない判断であったかもしれない。私自身は、消費税増税による景気悪化に対して、十分な景気対策を行うという条件付きで、消費税増税に賛成の立場だった。それは、財政再建のためということではなく、すでに消費税増税を前提として社会保障改革が組み立てられており、再増税延期は社会保障給付抑制の圧力を強めることにしかならない、と危惧しているからだ。  確かに、政府債務は巨額に上っており、中長期的には

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