読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
「カロリーゼロ」の裏側にある知らないこと
第14回
鍛冶孝雄
2014年12月1日号
10年以上も前になるが、沖縄県のある病院の院長を訪ねた。目的の話を聞き終えて雑談になったとき、その院長が深いため息をつきながら、「それにしても本土の人は、沖縄の現状に無関心だなぁ」と、筆者に話題を投げ掛けた。いきなり基地問題か何か意見を求められるのかと少々狼狽したが、話はいわゆる「沖縄26ショック」だった。院長の憂慮は、医師として捨て置けない沖縄県民の健康問題である。
26ショックは、00年の都道府県別生命表で、沖縄県の男性平均寿命が全国26位になったことを表したもの。80年の同県の平均寿命は男女ともに日本一。それが20年間で、とくに男性はじりじりと下がり始め、00年に至って26番目までに落ちた。女性も10年にはついに3位に後退し、男性も30位まで転落、30年間で名実ともに「長寿県おきなわ」のブランドは消えてしまった。院長の憂慮は、当時の、健...
10年以上も前になるが、沖縄県のある病院の院長を訪ねた。目的の話を聞き終えて雑談になったとき、その院長が深いため息をつきながら、「それにしても本土の人は、沖縄の現状に無関心だなぁ」と、筆者に話題を投げ掛けた。いきなり基地問題か何か意見を求められるのかと少々狼狽したが、話はいわゆる「沖縄26ショック」だった。院長の憂慮は、医師として捨て置けない沖縄県民の健康問題である。
26ショックは、00年の都道府県別生命表で、沖縄県の男性平均寿命が全国26位になったことを表したもの。80年の同県の平均寿命は男女ともに日本一。それが20年間で、とくに男性はじりじりと下がり始め、00年に至って26番目までに落ちた。女性も10年にはついに3位に後退し、男性も30位まで転落、30年間で名実ともに「長寿県おきなわ」のブランドは消えてしまった。院長の憂慮は、当時の、健康志
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