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時流遡航

エリザベス女王戴冠式と皇太子訪英

第7回

ジャーナリスト 本田成親

2014年12月1日号

 エリザベス女王の戴冠式も間近になったある日のこと、皇太子はスコットランドの名門貴族の館へと招待されたのだが、その折にちょっとした椿事が起こった。  色彩豊かな民俗衣裳で名高いスコットランド地方の貴族の間では、キルトスカートの着用が正装とされている。当然、その貴族は皇太子を迎えるに当たってキルトスカートを身に纏っていた。スコットランドの伝統に従えば、キルトスカートは、パンツをはかず、自然なままの姿のうえに、それをぐるぐると巻きつけるのが正規の着用法だとされている。むろん、当日もその貴族は、スコットランドのそんな伝統方式にのっとってキルトスカートを身に着けていた。  息を呑むほどに重厚で華麗な装飾の施された応接室で、正装に身を固め、満を持して遠来の皇太子を迎えたホストの貴族は、固い握手を交わしたあと、にこやかな笑...  エリザベス女王の戴冠式も間近になったある日のこと、皇太子はスコットランドの名門貴族の館へと招待されたのだが、その折にちょっとした椿事が起こった。  色彩豊かな民俗衣裳で名高いスコットランド地方の貴族の間では、キルトスカートの着用が正装とされている。当然、その貴族は皇太子を迎えるに当たってキルトスカートを身に纏っていた。スコットランドの伝統に従えば、キルトスカートは、パンツをはかず、自然なままの姿のうえに、それをぐるぐると巻きつけるのが正規の着用法だとされている。むろん、当日もその貴族は、スコットランドのそんな伝統方式にのっとってキルトスカートを身に着けていた。  息を呑むほどに重厚で華麗な装飾の施された応接室で、正装に身を固め、満を持して遠来の皇太子を迎えたホストの貴族は、固い握手を交わしたあと、にこやかな笑みを

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