医薬経済オンライン

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時流遡航

自然の猛威と人間

2014年11月1日号

 御嶽山の水蒸気爆発、台風18号・19号の襲来と、最近、国内は自然の猛威に晒されている。それゆえ、連載手稿を一時保留し、自然災害についての私見を述べたい。  率直に言って、現代人には、自然災害に遭遇した場合、その責任や対応策を国家や社会に求め、自己責任を回避しようとする傾向が見受けられる。被災の原因は行政上の不備や防災科学者の無能さにあるとする主張がそれで、各メディアもその論調に追随しがちなようである。自然に対し誰もが畏敬の念を抱いていた時代には、自然の猛威から身を守るには「自力頼み」が当然とされていたものだ。動物的な嗅覚に近い本能的感性をもって忍び寄る危険を個々人が自ら察知し、己の身を守るのが基本で、集団的な相互の助け合いはその延長上に成立していた。身を守るのは自己責任だという自覚があったからこそリスク対処能力にも磨きがかか...  御嶽山の水蒸気爆発、台風18号・19号の襲来と、最近、国内は自然の猛威に晒されている。それゆえ、連載手稿を一時保留し、自然災害についての私見を述べたい。  率直に言って、現代人には、自然災害に遭遇した場合、その責任や対応策を国家や社会に求め、自己責任を回避しようとする傾向が見受けられる。被災の原因は行政上の不備や防災科学者の無能さにあるとする主張がそれで、各メディアもその論調に追随しがちなようである。自然に対し誰もが畏敬の念を抱いていた時代には、自然の猛威から身を守るには「自力頼み」が当然とされていたものだ。動物的な嗅覚に近い本能的感性をもって忍び寄る危険を個々人が自ら察知し、己の身を守るのが基本で、集団的な相互の助け合いはその延長上に成立していた。身を守るのは自己責任だという自覚があったからこそリスク対処能力にも磨きがかかっ

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