OBSERVER
今西信幸・東京薬科大学理事長
2014年10月15日号
薬学部は「第二の法科大学院」──14年度の薬剤師国家試験の合格率が、前年度より約20ポイント減の60%にまで落ち込みました。今西 今、薬学部は「第二の法科大学院」と言っても過言ではない。合格発表の日まで「質のいい薬剤師が増える」と言われてきたが、結果は真逆だった。ただ、こうなることは予見できていた。 03年度から6年間で、規制緩和によって私立薬科大学が各地で開校した。それまで29校だったが、倍の57校にまで増えた。世間ではこれを根拠に薬剤師は増えると見越していたのだろう。さらに4年制から6年制へ移行し、質も担保できると踏んでいた。しかし、単に受験資格を持つ人が多くなっただけだ。つまり、国試を通過する能力のない人を増やしたに過ぎない。 偏差値の変遷が物語っている。ここ6年で新設した私立薬科大の多くが年々偏差値を落としている。半数以上は偏差値50以下で、...
薬学部は「第二の法科大学院」──14年度の薬剤師国家試験の合格率が、前年度より約20ポイント減の60%にまで落ち込みました。今西 今、薬学部は「第二の法科大学院」と言っても過言ではない。合格発表の日まで「質のいい薬剤師が増える」と言われてきたが、結果は真逆だった。ただ、こうなることは予見できていた。 03年度から6年間で、規制緩和によって私立薬科大学が各地で開校した。それまで29校だったが、倍の57校にまで増えた。世間ではこれを根拠に薬剤師は増えると見越していたのだろう。さらに4年制から6年制へ移行し、質も担保できると踏んでいた。しかし、単に受験資格を持つ人が多くなっただけだ。つまり、国試を通過する能力のない人を増やしたに過ぎない。 偏差値の変遷が物語っている。ここ6年で新設した私立薬科大の多くが年々偏差値を落としている。半数以上は偏差値50以下で、最低
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