読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
医療の進歩がつくり出したすれ違い
第9回
鍛冶孝雄
2014年9月15日号
言葉は、時代に沿って不思議な動き方をする。今の日本語が同じ言葉で生き延びてきたとは、ほとんどの人が考えていないだろう。江戸時代に入るまで公文書のほとんどは漢語で書かれている。小説にしても、口語体で書かれる小説が主流になるのは明治以降だ。
この連載では、戦後の知的爆発が教育の爆発を生み、その果実が情報の爆発につながって、現在に至っているとの認識を示した。しかし、現代ではその情報のやりとりが、世代で局在したり、職業や趣味の世界の専門性でしか理解できない言葉をつくり出し、関係性の薄い間柄では情報が伝わらないことも頻出するようになった。女性向けファッション誌の特集タイトルが「コンサバティブなボウのタイ」と書かれていても、全世代的に理解できる人はどの程度いるだろうか。
言葉は、時代に沿って不思議な動き方をする。今の日本語が同じ言葉で生き延びてきたとは、ほとんどの人が考えていないだろう。江戸時代に入るまで公文書のほとんどは漢語で書かれている。小説にしても、口語体で書かれる小説が主流になるのは明治以降だ。
この連載では、戦後の知的爆発が教育の爆発を生み、その果実が情報の爆発につながって、現在に至っているとの認識を示した。しかし、現代ではその情報のやりとりが、世代で局在したり、職業や趣味の世界の専門性でしか理解できない言葉をつくり出し、関係性の薄い間柄では情報が伝わらないことも頻出するようになった。女性向けファッション誌の特集タイトルが「コンサバティブなボウのタイ」と書かれていても、全世代的に理解できる人はどの程度いるだろうか。
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