この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
富の格差解消策
東京福祉大学・大学院 副学長 喜多村悦史
2014年9月15日号
格差の現実を直視せよ。『21世紀の資本論』で著者でフランスの経済学者のトマ・ピケティ氏は、次のように主張する。「経済成長率が資本収益率に及ばなくなり、資本を持つ者が相対的に有利になる。資本は相続によって移転するから、富の格差は固定化する。是正するには資産への課税強化が不可欠であり、それを怠れば社会は大混乱に陥るだろう」 わが国でも、格差の拡大を危惧する声がある。生活保護受給世帯の急増に見るように、国民全体が窮乏化しており、結果、親から資本を継承できる者との間で、許容できない格差が生じる——そう、論者たちは断定する。昨今の相続税強化方針は、あたかも日本政府が、ピケティ理論を深層で支持していることを示しているようでもある。 だが、19世紀の『資本論』がそうであったように、経済理論が世の中を正しく導くとは限らない。所詮は議論の一素材。国民の英明な...
格差の現実を直視せよ。『21世紀の資本論』で著者でフランスの経済学者のトマ・ピケティ氏は、次のように主張する。「経済成長率が資本収益率に及ばなくなり、資本を持つ者が相対的に有利になる。資本は相続によって移転するから、富の格差は固定化する。是正するには資産への課税強化が不可欠であり、それを怠れば社会は大混乱に陥るだろう」 わが国でも、格差の拡大を危惧する声がある。生活保護受給世帯の急増に見るように、国民全体が窮乏化しており、結果、親から資本を継承できる者との間で、許容できない格差が生じる——そう、論者たちは断定する。昨今の相続税強化方針は、あたかも日本政府が、ピケティ理論を深層で支持していることを示しているようでもある。 だが、19世紀の『資本論』がそうであったように、経済理論が世の中を正しく導くとは限らない。所詮は議論の一素材。国民の英明な判断
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