この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
入院時食事療養費
東京福祉大学・大学院 副学長 喜多村悦史
2014年9月1日号
入院患者が病院に払う食事代が値上げされることになりそうだ。今は1食当たり原則260円だが、これを460円に改定する案が検討されている。早ければ来年度からの実施という。これに、加入者の立場から異論を唱えたい。 入院患者の立場では、「負担増は困る」ということになる。しかし、患者は「加入者(保険料納付者)」でもある。加入者の立場では「制度運営の健全性」が最優先事項。保険財政がパンクして、無保険状態になることだけは避けたい。 健康保険の運営とは、保険料として集めた財源を、患者間でいかに公平・効率的に配分するかに尽きる。実に単純。参加者民主主義の実験場にふさわしい。 さて今回取り上げた入院患者食事代だが、健康保険制度上は「入院時食事療養費」という。これが実に複雑な仕組みなのだ。 まず、入院患者向けの給食費用は、保険でカバーするものと定められている。その...
入院患者が病院に払う食事代が値上げされることになりそうだ。今は1食当たり原則260円だが、これを460円に改定する案が検討されている。早ければ来年度からの実施という。これに、加入者の立場から異論を唱えたい。 入院患者の立場では、「負担増は困る」ということになる。しかし、患者は「加入者(保険料納付者)」でもある。加入者の立場では「制度運営の健全性」が最優先事項。保険財政がパンクして、無保険状態になることだけは避けたい。 健康保険の運営とは、保険料として集めた財源を、患者間でいかに公平・効率的に配分するかに尽きる。実に単純。参加者民主主義の実験場にふさわしい。 さて今回取り上げた入院患者食事代だが、健康保険制度上は「入院時食事療養費」という。これが実に複雑な仕組みなのだ。 まず、入院患者向けの給食費用は、保険でカバーするものと定められている。その額
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