医薬経済オンライン

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一筆入魂

「雄勝」の再会で今も続く悲しみを知る

語れない真実こそが悲劇

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2014年8月1日号

 ご存知の方もおられるだろうが、私は昨春、石巻市雄勝町の市立雄勝病院を取材して「海の見える病院─語れなかった雄勝の真実」を医薬経済社から出版した。 患者40人と職員24人の計64人が津波に呑み込まれて亡くなった病院だが、長い間、関係者が口を閉ざしてきたために、マスコミに取り上げられずに埋もれてきた。 医療従事者であるがゆえに、「入院患者を放って逃げられない」と病院にとどまった28人の職員のうち、津波に流されながらも助かった職員は、たったの4人だった。その経緯は、今もほとんど表に出ることはない。「患者を死なせてしまった」「自分だけが生き残ってしまった」という十字架を背負って生きていかねばならない職員たちは堅く口を閉ざしているからだ。 その雄勝で、昨年からトレイルランの大会が開かれている。山本圭一さんという震災後に雄勝に住み着いて漁業を手伝っている若...  ご存知の方もおられるだろうが、私は昨春、石巻市雄勝町の市立雄勝病院を取材して「海の見える病院─語れなかった雄勝の真実」を医薬経済社から出版した。 患者40人と職員24人の計64人が津波に呑み込まれて亡くなった病院だが、長い間、関係者が口を閉ざしてきたために、マスコミに取り上げられずに埋もれてきた。 医療従事者であるがゆえに、「入院患者を放って逃げられない」と病院にとどまった28人の職員のうち、津波に流されながらも助かった職員は、たったの4人だった。その経緯は、今もほとんど表に出ることはない。「患者を死なせてしまった」「自分だけが生き残ってしまった」という十字架を背負って生きていかねばならない職員たちは堅く口を閉ざしているからだ。 その雄勝で、昨年からトレイルランの大会が開かれている。山本圭一さんという震災後に雄勝に住み着いて漁業を手伝っている若者

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