医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

技術革新と製薬企業の明日

反「個の医療」の旗手 ニボルマブの今後の課題は

第48回

生島准

2014年7月15日号

 コンパニオン診断薬によって対象患者を鑑別、効率よく治療する個の医療が世界の医薬産業の主流となった。しかし、技術革新は常に振り子が揺れるようなものだ。流行を追い、一方向だけを見つめていては、未来に裏切られ、研究開発で後手を踏むことになる。 7月4日、わが国で世界に先駆け、反「個の医療」実用化の狼煙が上がった。小野薬品が京都大学と開発した抗PD1抗体「オプジーボ」(ニボルマブ)が根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬とし、厚生労働省から承認された。コンパニオン診断薬が不要で、多数の患者に治療効果が期待できる。 PD1抗体が世に出るまでの曲折は、まさに技術革新の産みの苦しみを体現するものだ。PD1は、当時免疫系の分子生物学で世界と凌ぎを削っていた京都大学の本庶佑名誉教授らのグループが、92年にT細胞に細胞死が誘導されるときに、遺伝子発現が増強する機能未知...  コンパニオン診断薬によって対象患者を鑑別、効率よく治療する個の医療が世界の医薬産業の主流となった。しかし、技術革新は常に振り子が揺れるようなものだ。流行を追い、一方向だけを見つめていては、未来に裏切られ、研究開発で後手を踏むことになる。 7月4日、わが国で世界に先駆け、反「個の医療」実用化の狼煙が上がった。小野薬品が京都大学と開発した抗PD1抗体「オプジーボ」(ニボルマブ)が根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬とし、厚生労働省から承認された。コンパニオン診断薬が不要で、多数の患者に治療効果が期待できる。 PD1抗体が世に出るまでの曲折は、まさに技術革新の産みの苦しみを体現するものだ。PD1は、当時免疫系の分子生物学で世界と凌ぎを削っていた京都大学の本庶佑名誉教授らのグループが、92年にT細胞に細胞死が誘導されるときに、遺伝子発現が増強する機能未知の

有料会員限定

会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください

【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)

googleAdScence