医薬経済オンライン

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一筆入魂

「当事者」になる覚悟はあるのか

集団的自衛権での武力行使に思う

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2014年7月1日号

 今から23年も前の話になる。 私が朝日新聞記者だった91年7月、自民党の海部俊樹政権が検討していた国連平和維持活動(PKO)協力法案が取り沙汰されていた。その実態を調べるために、中東などでのPKOの現場を取材したことがある。 40度を超える暑いレバノンの首都ベイルートに滞在していたときのことだ。地元紙に、レバノン南部の村が、紛争を起こしていたイスラエルの傀儡である南レバノン軍の攻撃を受けて、若者が連行されたとの短い記事を見つけた。 さっそく、車で6時間以上かけて南下し、イスラエルとの国境近くの丘陵地帯に位置するマジダルズーン村を訪ねた。砲撃で破壊された自宅前で茫然とする老婆が、家のなかを案内してくれた。壁には大きな穴が空き、ベッドの周辺には血痕が飛び散っていた。息子が寝ていて大けがをしたという。遠くではまだ銃撃の音が聞こえる。 老婆宅を出て50...  今から23年も前の話になる。 私が朝日新聞記者だった91年7月、自民党の海部俊樹政権が検討していた国連平和維持活動(PKO)協力法案が取り沙汰されていた。その実態を調べるために、中東などでのPKOの現場を取材したことがある。 40度を超える暑いレバノンの首都ベイルートに滞在していたときのことだ。地元紙に、レバノン南部の村が、紛争を起こしていたイスラエルの傀儡である南レバノン軍の攻撃を受けて、若者が連行されたとの短い記事を見つけた。 さっそく、車で6時間以上かけて南下し、イスラエルとの国境近くの丘陵地帯に位置するマジダルズーン村を訪ねた。砲撃で破壊された自宅前で茫然とする老婆が、家のなかを案内してくれた。壁には大きな穴が空き、ベッドの周辺には血痕が飛び散っていた。息子が寝ていて大けがをしたという。遠くではまだ銃撃の音が聞こえる。 老婆宅を出て50メ

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