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医政羅針盤

社会連帯を損なう世代間格差是正論の陥穽

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2014年6月15日号

 最近の社会保障制度改革で強調されるキーワードのひとつが「世代間格差の是正」である。世代間格差とは、次のような考え方だ。  各世代の人たちが一生のうちに税金や社会保険料として負担する金額と、社会保障給付や教育、公共事業などによって受け取ることができる便益との差額、すなわち生涯純受益を比較すると、現在の高齢者はプラスで、負担額よりも多くの便益を享受している。  しかし、40歳代よりも下の世代に行けば行くほど生涯純受益はマイナスが拡大し、内閣府の試算によると、将来世代に至っては5000万円を超える「損」をすることになる。現在の60歳以上の生涯純受益との差額は1億円近い。急速な少子高齢化によって不均衡は拡大の一途を辿るため、これを是正するには社会保障制度改革や財政再建が不可欠だ、という主張になる。  このような議論は目新しいものではない。経済学では20年以...  最近の社会保障制度改革で強調されるキーワードのひとつが「世代間格差の是正」である。世代間格差とは、次のような考え方だ。  各世代の人たちが一生のうちに税金や社会保険料として負担する金額と、社会保障給付や教育、公共事業などによって受け取ることができる便益との差額、すなわち生涯純受益を比較すると、現在の高齢者はプラスで、負担額よりも多くの便益を享受している。  しかし、40歳代よりも下の世代に行けば行くほど生涯純受益はマイナスが拡大し、内閣府の試算によると、将来世代に至っては5000万円を超える「損」をすることになる。現在の60歳以上の生涯純受益との差額は1億円近い。急速な少子高齢化によって不均衡は拡大の一途を辿るため、これを是正するには社会保障制度改革や財政再建が不可欠だ、という主張になる。  このような議論は目新しいものではない。経済学では20年以上

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