技術革新と製薬企業の明日
日本版NIHへの不安 公明正大な研究基盤の整備を
第47回
生島准
2014年6月15日号
いよいよ日本版NIH「日本医療研究開発機構」が動き出した。 安倍晋三政権の運命を決める成長戦略の大本命である医療イノベーションの司令塔の設置を定めた法律が、14年5月23日の参院本会議で賛成多数で成立した。期待を集める日本版NIHだが、実は2つの大きな問題点を抱えている。来年4月1日に発足する医療イノベーションのエンジンの欠陥は、わが国の成長戦略をも狂わせかねない。実体はまさに累卵の危うきと言うべきスタートなのである。 準えるのも恥ずかしいが、本家米国のNIH(国立衛生研究所)は、傘下に国立がん研究所など19研究所を抱え、職員1万8000人以上、予算も3兆円以上の大型医学研究機関だ。先端医学研究に加え、医学や生命科学関連の政府の研究費の配分機関も兼ね、まさにバイオテロからアルツハイマー病対策まで、米国の医学研究を担う屋台骨である。日本版NIHの陣容は...
いよいよ日本版NIH「日本医療研究開発機構」が動き出した。 安倍晋三政権の運命を決める成長戦略の大本命である医療イノベーションの司令塔の設置を定めた法律が、14年5月23日の参院本会議で賛成多数で成立した。期待を集める日本版NIHだが、実は2つの大きな問題点を抱えている。来年4月1日に発足する医療イノベーションのエンジンの欠陥は、わが国の成長戦略をも狂わせかねない。実体はまさに累卵の危うきと言うべきスタートなのである。 準えるのも恥ずかしいが、本家米国のNIH(国立衛生研究所)は、傘下に国立がん研究所など19研究所を抱え、職員1万8000人以上、予算も3兆円以上の大型医学研究機関だ。先端医学研究に加え、医学や生命科学関連の政府の研究費の配分機関も兼ね、まさにバイオテロからアルツハイマー病対策まで、米国の医学研究を担う屋台骨である。日本版NIHの陣容は、準
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