「成長」の端境期を迎えたツムラ
医療用漢方事業への「傾注」に不安視
2014年6月1日号
2年目を迎えている「アベノミクス」の副作用が、ツムラを窮地に追い込もうとしている。金融緩和と財政出動は先行したものの、肝心の成長戦略が“岩盤規制”に穴を穿てず足踏みするなか、かねてより懸念されてきたツムラの3つの弱点が改めて浮き彫りになった。すなわち、円安の進行、原燃料高の進展、株価の下落──が襲い、芳井順一会長が社長時代より強力に推進してきた独特のビジネスモデルに綻びが生じ始めた。 芳井会長は債務超過による倒産寸前の危機を風間八左衛門前会長とともに乗り切って以降、とくに社長として在任した04〜12年にかけて、医療用漢方製剤への選択と集中を強力に推し進めた。「魅力的な新薬候補がなかった」(芳井会長)と漢方以外の創薬研究から撤退し、祖業につながる家庭用品事業もグループ外へと分離した。一方で、国内約27万人の医師を対象にした漢方医療の普及・啓発に総力...
2年目を迎えている「アベノミクス」の副作用が、ツムラを窮地に追い込もうとしている。金融緩和と財政出動は先行したものの、肝心の成長戦略が“岩盤規制”に穴を穿てず足踏みするなか、かねてより懸念されてきたツムラの3つの弱点が改めて浮き彫りになった。すなわち、円安の進行、原燃料高の進展、株価の下落──が襲い、芳井順一会長が社長時代より強力に推進してきた独特のビジネスモデルに綻びが生じ始めた。 芳井会長は債務超過による倒産寸前の危機を風間八左衛門前会長とともに乗り切って以降、とくに社長として在任した04〜12年にかけて、医療用漢方製剤への選択と集中を強力に推し進めた。「魅力的な新薬候補がなかった」(芳井会長)と漢方以外の創薬研究から撤退し、祖業につながる家庭用品事業もグループ外へと分離した。一方で、国内約27万人の医師を対象にした漢方医療の普及・啓発に総力を
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