老医師のつぶやき
社会的倫理観の欠落者たち
第26回
吉原忠男(前埼玉県医師会長)
2014年6月1日号
今年4月20日のNHKスペシャルで、東京電力の福島第一原子力発電所の廃炉への道の険しさを特集していた。放射能に満ちた原発内部で廃炉に向けて働く下請作業者の悲惨さと、その付近で困惑している漁師たちが映されていた。魚漁業者たちは固唾を飲んで廃炉工事を見ているという。カレイを揚げる漁師の言葉が心に残る。 「俺たちは(原発と)運命共同体なんだよな」 また、3人の子を抱えて漁師を続ける組合のリーダー格の人は「40年間、魚を捕れませんよと言われれば、誰でも(漁師を)やめるよね」と呟く。この組合の人たちは結局、地下水の海への放出を東電に認めざるを得なかった。また、風評被害が高まるのを懸念しながらも、廃炉の進行がさらに遅れてはならないという考えからだ。 船の上に活きのいいヒラメがピチピチと踊っていた。確かに関東にあるスーパー関係者に話を聞くと、東北三県から...
今年4月20日のNHKスペシャルで、東京電力の福島第一原子力発電所の廃炉への道の険しさを特集していた。放射能に満ちた原発内部で廃炉に向けて働く下請作業者の悲惨さと、その付近で困惑している漁師たちが映されていた。魚漁業者たちは固唾を飲んで廃炉工事を見ているという。カレイを揚げる漁師の言葉が心に残る。 「俺たちは(原発と)運命共同体なんだよな」 また、3人の子を抱えて漁師を続ける組合のリーダー格の人は「40年間、魚を捕れませんよと言われれば、誰でも(漁師を)やめるよね」と呟く。この組合の人たちは結局、地下水の海への放出を東電に認めざるを得なかった。また、風評被害が高まるのを懸念しながらも、廃炉の進行がさらに遅れてはならないという考えからだ。 船の上に活きのいいヒラメがピチピチと踊っていた。確かに関東にあるスーパー関係者に話を聞くと、東北三県から茨
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