医薬経済オンライン

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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

国民皆保険・皆年金の「穴」

東京福祉大学・大学院副学長 喜多村悦史

2014年6月1日号

 わが国は「国民皆保険」、「国民皆年金」だ。それを社会保険で実施するのだが、そもそも社会保険とはどういうものか。この基本を国民が十分理解しているかとなると、甚だ心許ない。思えば、「65歳になったのだから年金をくれ」とか、「保険証は持っていないが入院させろ」といった要求を、公務員時代にずいぶん聞かされたものだ。 無条件の給付制度を構築することは、理論的には可能だ。しかし財源がなければ制度は動かない。そこでわが国は、ほかの多くの先進国と同様、強制加入の保険制度を立法化し、保障が必要と思われる者に保険加入と保険料納付を義務付けた。諸外国と違ったのは、無職者・低所得者・高資産者の例外なく、全員を適用対象にして、負担能力に応じた保険料納付義務を課したことだ。半世紀前に完成したその形は、変わらず今日まで引き継がれている。 だが、当時からずっと引きずっ...  わが国は「国民皆保険」、「国民皆年金」だ。それを社会保険で実施するのだが、そもそも社会保険とはどういうものか。この基本を国民が十分理解しているかとなると、甚だ心許ない。思えば、「65歳になったのだから年金をくれ」とか、「保険証は持っていないが入院させろ」といった要求を、公務員時代にずいぶん聞かされたものだ。 無条件の給付制度を構築することは、理論的には可能だ。しかし財源がなければ制度は動かない。そこでわが国は、ほかの多くの先進国と同様、強制加入の保険制度を立法化し、保障が必要と思われる者に保険加入と保険料納付を義務付けた。諸外国と違ったのは、無職者・低所得者・高資産者の例外なく、全員を適用対象にして、負担能力に応じた保険料納付義務を課したことだ。半世紀前に完成したその形は、変わらず今日まで引き継がれている。 だが、当時からずっと引きずってい

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