一筆入魂
本当の苦しみは、口にできないものなのだ
3・11に被災地を走って感じたこと
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2014年4月1日号
3月11日の午前5時。私たちは宮城県石巻市のJR石巻駅にいた。 あの震災から3年を迎えるこの日、私は東京のラン仲間であるO君と被災地を走る計画を立てた。当初は、ひとりで走る予定だったが、それを知ったO君が「同行させてほしい」と申し出てくれた。O君は30代半ばとまだ若い。山を走るトレイルランナーだ。 そしてもうひとり。仙台のランナーGさん。66歳というが、100キロのウルトラマラソンを平気で完走してしまう「つわもの」でもある。つい10日前に開かれた200キロのウルトラマラソンを完走したばかりだが、私たちが走ると聞いて、「ご一緒しましょう」と、道案内をかって出てくれた。 氷点下3度。暗闇のなか、頭にライトを巻いて3人は走り始めた。 国道398号線を女川に向けて北上する。めざすは石巻市雄勝町だ。雄勝湾の海辺にあった石巻市立雄勝病院を1年間にわたって取材したことが...
3月11日の午前5時。私たちは宮城県石巻市のJR石巻駅にいた。 あの震災から3年を迎えるこの日、私は東京のラン仲間であるO君と被災地を走る計画を立てた。当初は、ひとりで走る予定だったが、それを知ったO君が「同行させてほしい」と申し出てくれた。O君は30代半ばとまだ若い。山を走るトレイルランナーだ。 そしてもうひとり。仙台のランナーGさん。66歳というが、100キロのウルトラマラソンを平気で完走してしまう「つわもの」でもある。つい10日前に開かれた200キロのウルトラマラソンを完走したばかりだが、私たちが走ると聞いて、「ご一緒しましょう」と、道案内をかって出てくれた。 氷点下3度。暗闇のなか、頭にライトを巻いて3人は走り始めた。 国道398号線を女川に向けて北上する。めざすは石巻市雄勝町だ。雄勝湾の海辺にあった石巻市立雄勝病院を1年間にわたって取材したことがある
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