この国につけるクスリ
偽ベートーヴェンの余波
東京福祉大学・大学院 副学長 喜多村悦史
2014年3月1日号
まったく音が聴こえない。しかし、天賦の「絶対音感」で作曲していた──。日本の公共放送で紹介された奇跡のようなエピソードは、音楽の才能を持ち合わさない凡人には俄に信じがたいものだった。小学校でベートーヴェンの偉大さを習った際も、重度の難聴であって、まったく聴こえないのではないはずと思っていた。 そうしたらこの2月、「現代のベートーヴェン」と称された前者は、実は他人に丸投げで作曲してもらっていたこと、しかも普通に会話もできていたことが暴露された。当初は「聴こえない」と反論していた当人も、マスコミ取材に抗しきれず、「3年前から聴こえるようになった」と白状するに至る。 しかし、耳鼻関係の専門医の見解は、揃って「損壊していた聴覚機能が回復することはない」。この騒ぎ、いったいどうなるやら。ミーハー的関心もさることながら、社会保障の側面から考えてみたい...
まったく音が聴こえない。しかし、天賦の「絶対音感」で作曲していた──。日本の公共放送で紹介された奇跡のようなエピソードは、音楽の才能を持ち合わさない凡人には俄に信じがたいものだった。小学校でベートーヴェンの偉大さを習った際も、重度の難聴であって、まったく聴こえないのではないはずと思っていた。 そうしたらこの2月、「現代のベートーヴェン」と称された前者は、実は他人に丸投げで作曲してもらっていたこと、しかも普通に会話もできていたことが暴露された。当初は「聴こえない」と反論していた当人も、マスコミ取材に抗しきれず、「3年前から聴こえるようになった」と白状するに至る。 しかし、耳鼻関係の専門医の見解は、揃って「損壊していた聴覚機能が回復することはない」。この騒ぎ、いったいどうなるやら。ミーハー的関心もさることながら、社会保障の側面から考えてみたい。
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