新薬の市場環境を読む
日本発の創薬は復活するのか
第53回
バークレイズ証券 株式調査部 関篤史
2014年2月15日号
13年は糖尿病治療剤「TAK875」(武田薬品)の開発中止で幕を閉じた。日本企業発創薬の置かれた苦境を象徴しているようにも見える。果たして、日本発の創薬は復活し、グローバル医薬品企業のなかで存在感を発揮できるようになるのだろうか。本稿では、株式投資の文脈における研究開発の生産性について考えてみたい。 開発パイプラインをまとめているファーマプロジェクトによれば、メラノーマ治療剤の開発プロジェクトは世界で202個あるそうだ。米国でメラノーマ新規診断は年間7万人程度であることから、限られた患者数を考慮すると、R&D投資によるリターン低下は避けられないと考える。もちろん、メラノーマは患者数が少なく稀少疾患指定を受けやすいために、早期上市のためのひとつの方法である点は重要だ。投資家は混雑したパイプラインのなかから有望なものを〝釣り上げる〟という意味で、最...
13年は糖尿病治療剤「TAK875」(武田薬品)の開発中止で幕を閉じた。日本企業発創薬の置かれた苦境を象徴しているようにも見える。果たして、日本発の創薬は復活し、グローバル医薬品企業のなかで存在感を発揮できるようになるのだろうか。本稿では、株式投資の文脈における研究開発の生産性について考えてみたい。 開発パイプラインをまとめているファーマプロジェクトによれば、メラノーマ治療剤の開発プロジェクトは世界で202個あるそうだ。米国でメラノーマ新規診断は年間7万人程度であることから、限られた患者数を考慮すると、R&D投資によるリターン低下は避けられないと考える。もちろん、メラノーマは患者数が少なく稀少疾患指定を受けやすいために、早期上市のためのひとつの方法である点は重要だ。投資家は混雑したパイプラインのなかから有望なものを〝釣り上げる〟という意味で、最近
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