海外時報
「優しさと寛大」は価格の犠牲のうえに
ヘルスケア産業が向き合う経済の基本原理
2014年2月15日号
ドイツ移民2世として、しばしば米国の特異な感覚をからかってみせる、プリンストン大学の医療経済学者ウベ・ラインハートは昨年末、ニューヨークタイムズに寄せたエッセイで、「優しく穏やかで寛大な社会」を政策理念に掲げながら、未だに到達できない米国の“言わずもがな”の理由を、医療政策の場で確認した。医療の価格は世界標準の2倍、だから豊かな国でも購買に制約がかかり、貧しい友人、病気がちの友人を気にはかけても、結局は自分の面倒で手一杯になってしまうのだ、と。
「優しく寛大」は、ブッシュ・シニア(ジョージ・H・W・ブッシュ)が共和党大統領候補の指名受諾演説で掲げた標語だ。当時から無保険者対策の話題は盛んだったが、12年後、「思いやりの保守主義」を旗印にした息子の大統領任期8年を通じても、15%ほどの無保険者率に改善はなかった。
ラインハートは、パパ・ブッシュ...
ドイツ移民2世として、しばしば米国の特異な感覚をからかってみせる、プリンストン大学の医療経済学者ウベ・ラインハートは昨年末、ニューヨークタイムズに寄せたエッセイで、「優しく穏やかで寛大な社会」を政策理念に掲げながら、未だに到達できない米国の“言わずもがな”の理由を、医療政策の場で確認した。医療の価格は世界標準の2倍、だから豊かな国でも購買に制約がかかり、貧しい友人、病気がちの友人を気にはかけても、結局は自分の面倒で手一杯になってしまうのだ、と。
「優しく寛大」は、ブッシュ・シニア(ジョージ・H・W・ブッシュ)が共和党大統領候補の指名受諾演説で掲げた標語だ。当時から無保険者対策の話題は盛んだったが、12年後、「思いやりの保守主義」を旗印にした息子の大統領任期8年を通じても、15%ほどの無保険者率に改善はなかった。
ラインハートは、パパ・ブッシュが大
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